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痺れる (光文社文庫)
沼田 まほかる
光文社 2012-08-08
評価

by G-Tools , 2012/11/06



がつがつとまほかるを読んでいる。
これは短編集でした。
タイトル通り。

痺れます。

まほかるの本をホラーとくくるのはためらいがありますが、
恐ろしいという感情を喚起するという意味で”ホラー”という
言葉を使うのが正しければ、この本は見事にホラーです。

倫理的にダメだと分かっていても、
根の深いところでうずいている欲求。
それも女の欲求。
そういう光を当ててはいけない、
あったと気づいてはいけない欲求を
明るみに出してしまっている数々。

目を背けたいけれど、
目が離せない。

侮辱したいけれど、
のどもとに何かがひっかかる。

毎度毎度、なんとも言えない気持ちにさせてくれますね~
まほかるさんは、醜い女の一面を描きながら、
その向こうにある男の醜さを明らかにする手法の方と思います。
人間の深みにはまりたい方にお薦めです。

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猫鳴り (双葉文庫)
沼田 まほかる ヌマタ マホカル
双葉社 2010-09-16
評価

by G-Tools , 2012/08/14



まほかるにはまり始めている。
この本は、猫好きには読むのがしんどい。
いろんな意味で。とにかく泣けずに読めない。

子猫のぐんにゃりとした不安になるほどの不確かさ。
それを愛おしいと思う人もいれば、壊したいと思う人もいる。
同じ人間でも時として、かわいがれたり、いらついたり。

人と猫との関係性。
寄り添っているかと思えば、拒絶する猫という生き物との
距離感を描くことで、人間自身の不安や戸惑い、安堵といったものが
ビシビシ伝わってくる。

第3部では、老猫と老人の別れが描かれていて、
ここはもうやばいです。
自分が猫を失ったときの思いとシンクロしてしまって
だーだー泣きました。

ああ、猫ってなんて愛おしい生き物なんだろう。
そんな猫から信頼される飼い主になりたいなぁ。
いや今飼ってないけども。

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くちびるに歌を
中田 永一
小学館 2011-11-24
評価

by G-Tools , 2012/04/04



若い!淡い!清々しい!

五島列島のひとつの島にある中学校。
学年2クラスほどしかない学校で、少女と少年が歌で出会う。

中学や高校でなぜか強制的にやらされてきた混声合唱。
歌うのがへたくそな私には苦痛でしかなかったけど、
それでも4つのパートがかさなりあって、音がうねった時のあの感じは
大人になった今でも忘れられない。

部活動に一生懸命になるとか、
男子と女子が一緒に何かをやるとか、
面倒だけど、ほうっておけない事柄。
逃げてしまいたくなるような恥ずかしい瞬間や、
一生忘れたくないきらめく瞬間。
本当に思春期だけが味わえる貴重な体験。

この本を読んで、自分にそういう時があったことを幸せな気持ちで思い出し、
それと同時に今その時を生きている人たちに
どうか毎日を大切に過ごして欲しいと願ってしまう。

それは、その時には気づかないけど、
過ぎ去ってから本当に身にしみて分かる大切な瞬間。
辛くても逃げちゃいけない時期。
自分の芽をつまないで、守ってあげて欲しい。
学校の片隅や、放課後の一瞬に、
今でも戻れるものなら戻りたい。
校庭からの風を感じて、屋上で雨に打たれる。
あ~戻りたい。

いつもより希望があふれた中田さんの一作。
優しさにあふれた本でした。

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彼女がその名を知らない鳥たち (幻冬舎文庫)
沼田 まほかる
幻冬舎 2009-10
評価

by G-Tools , 2012/03/05



まほかる2冊目。

8年も前に別れた男のことを忘れられず、
働きもせず、日々を怠惰に生きる十和子。
陣冶という10以上歳の離れた冴えない男と暮らし、
その男を憎悪し、虐待しつつも依存して生きている。

いかに陣冶がダメな男か、読んでいて眉間にしわがよるくらい丁寧に描写される。
確かに気持ちのいい男ではない。
ならば、なぜ十和子はこの男から離れられないのか。

読み進めるうちに、十和子の闇が見えてくる。
陣冶が病んでいるのか、十和子が病んでいるのか…
二人の間に一体何があるのか。


陰湿。
女の暗い面がじっとりと描かれている。
客観的に見て、この十和子という女は非常に不快だ。
だけど、その不快さが自分の中にも潜んでいる一部のようで十和子から目が離せなくなる。
バカな女、ひどい女、ろくでもない女。
認めたくないし、拒絶したいのに、十和子と共鳴してしまう部分が自分の中にある。
そういうところをまほかるさんはえぐってくる。


読み終わった後の哀しさといったらない。
十和子も陣冶も哀しすぎる。
惨めだ。惨めすぎて涙が出る。
陣冶の愛さえ惨めだ。

人間がいかに惨めで滑稽か。
それでいてこんなにも深く人を愛せるのかと。
怖い本ですわ~価値観が揺らぎます。

「容疑者Xの献身」とも似てるけど、
より肉感的で、人の温度や匂いが感じられる本。

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九月が永遠に続けば (新潮文庫)
沼田 まほかる
新潮社 2008-01-29
評価

by G-Tools , 2011/12/24



これがまほかるかぁ~~
あちこちの本屋のポップで絶賛されてるし、
書評でも名前を見かけていた、まほかる初読。

文字の運びに引っかかりが全くなかったので、
すごく気持ちよく読めました。
どういうことかっていうと、
物事の合間に差し込まれる、ちょっとした心情だとか風景の描写っていうのが
全然ピンとこなかったり、言葉のチョイスにん?ってなったりする作家さんが最近多い中で、
まほかるさんの描写は心に染みこんできた~ってことなんです。

ま、理由は単純に中年女という共通点かもしれんけど(笑)
センスが合うということでもあると思う。

女であること、若い女や美しい女に心のどこかで畏れをいだいていること、
ある一定の年齢を過ぎた女たちが本能で感じる、そういった感情が
この本の根底には流れている気がする。
罪の意識、敗北感、渇望・・・

この本を読んだ男たちは、この水沢をどう感じるんだろうか?
いい年をしてみっともない?醜い?恥ずかしい?
男といっても、息子文彦の世代と、父親の雄一郎の世代、
犀田の世代と、全然違う読後感なんだろうな。

私は、この登場人物の中で一番腹立たしかったのが文彦。
(ネタバレしますよ↓)
こいつは誰に対しても失礼だった。本音で接してない。
子を失う母親の気持ちも、自分に思いを寄せる同級生たちの気持ちも
父親の気持ちも、結局優しくかわすようでいて、無視してるだけ。
父親に対する勝手な怒り。
この雄一郎と亜沙美の間の感情なんて文彦にわかるわけがない。
どんなセックスを二人がしてようと、それが悪と判断できるのは当事者だけだ。
何を救った気になってるんだって話だよ。
何よりも!夫と息子を同じ女にとられる母親の身にもなってみろ!
その感情は物語には一切書かれていないけど、
私はこの部分が一番傷つくと思うぞ。
こんな暴力ってない。

この結末にしてもそうだけど、この本は女に対する侮辱や凌辱が色濃い。
果たしてそれを感じて読む男性がどれほどいるのだろうか。
そこも気になる。

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