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マーティン・ドレスラーの夢 (白水Uブックス)
Steven Millhauser
白水社 2008-08
評価

by G-Tools , 2009/09/01






スティーブン・ミルハウザー2冊目です。
やっぱり読むのに時間がかかってしまった。
以前読んだ 『ナイフ投げ師』 とかなり類似しているので、既読感が・・・。

今度は、マーティン・ドレスラーという少年が、どんどん出世(?)していく話でした。
葉巻屋のせがれのマーティンが、⇒ホテルのベルボーイ⇒フロント係⇒支配人の秘書⇒カフェチェーンのオーナー⇒ホテルのオーナー⇒・・・・
という具合に、商才をめきめきと発揮して、世の中に新しいものを作り出していくマーティン。
彼は常に、何か新しいものを求め、決して満たされず、先へ先へと進んでいく。
世の中の人々は、はじめ彼の与える物に熱狂し、心酔する。が、やがて、マーティンの歩みは人々から離れ、気がついたときには誰も付いてきていない。

ミルハウザーは、こういう話しか書かない人なのかな?
建物がどんどん空と地下へと伸びていく様、常に変化する建物の中身、などなど『ナイフ投げ師』でも出てきたなぁ。あと、役者とか劇場とかもよく出てくるね。
ミルハウザーの描く街には、街に必要な要素としての人と物がある。
それを本物ではなく、ニセモノを使ってでも用意してしまうあたりが、恐らく一般人との差なのだ。彼にとって、目に見えるところ全てに彼の意思が行き届いていないとダメなんだ。そう、だから彼が求めている作業は、神の作業ともいえる。世界を造りたい男。

そんな彼は、「世界を造りたい」という欲望には貪欲だけど、人としてのささやかな欲望に対しては不器用な気がした。夢見てる世界が大きく、精巧なのに比べ、一人の人間としての幸せを求める姿勢はなんだか後ろ向きだ。鈍感とも言えるかも。
彼の結婚は、理解しがたい。けど、考えてみれば彼はビジュアル重視の人なんだ。だから、気が合う女性よりも、理解しがたいが美しい女性を選んでしまった。その人との共有する時間や、その時間が生み出す安堵や満足という感覚に鈍すぎたに違いない。鈍いのか、それともそういった感覚に魅力を感じなかったのか。

結局、色々なものを失う彼だが、まだ彼は若い。この先、どのように彼が再起するのかも気になるところ。
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テーマ:読んだ本。 - ジャンル:本・雑誌


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ナイフ投げ師
スティーヴン・ミルハウザー 柴田 元幸
白水社 2008-01
評価

by G-Tools , 2008/04/06




面白いです。でも読むのが大変です。
短編集なのですが、全て何かを突き詰めていくと、最後は万人の理解を超えてしまうという話なんです。例えば、ナイフ投げ師だったり、人形職人だったり、遊園地のオーナーだったり、人々に何かを提供する人たちが、皆が楽しみ、欲しがるものをどんどん提供していくうちに、ある時、その極限にたどり着いてしまう。その世界は確かに極限なんだけど、それを楽しめる人、理解する人は少ない。何か、罪を犯しているような、見てはいけない深遠を覗いてしまったような、そういう気分にさせられてしまう。
そういう話が、わかりにくい(?)文章で描かれる。解説によれば、この言い回しこそ、そこに書かれていることを表している。ミルハウザー自身、そういう境地に達してしまっているのではないか、と。恐らく原文を読むのはとても大変なんでしょう。

描かれている話はとても面白い。『新自動人形劇場』や『協会の夢』が好き。
人々がいつ来ても驚き、楽しめる百貨店を目指す協会。協会がどんな組織なのか、分からないけど、この百貨店はハンパない。地上14階、地下4階(だっけか?)あって、毎日どこかが新しくなってる。売ってるものもハンパない。滝とか遺跡を売ってる(笑)。とんでもない。

何かに思いを馳せる。強く焦がれる。そういう人の想いを描いている作品ともいえる。人の欲求は際限ないから、それに答えようとするとこんな世界になるんだなぁっと。
面白い作家さんでした。翻訳者が岸本佐知子か柴田元幸っていうところからも、変わり者の作家さんだろうと予想できますね(笑)。

テーマ:読書感想文 - ジャンル:小説・文学



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