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猫を抱いて象と泳ぐ (文春文庫)
小川 洋子
文藝春秋 2011-07-08
評価

by G-Tools , 2011/09/02



文庫になるのを待ち望んでいた本。
もう、タイトルからして好きだもの。
チェスをさす少年の話が、なぜにこういうタイトルになるのだろうと
すごく不思議だったんですが、なんかもうすごいですね。
読んで感嘆。

これまでも小川さんの描く、国も時代も不確かな幻想的な雰囲気が
とても好きでしたが、失われる物語が多く暗い印象が強かったのが、
この作品に関しては、なんとも収まりがいいというか、
自分の中でスッポリとはまりました。
抱えている暗さも込みで、スポッと。
何だ、この感想(笑)


唇が閉じられて生まれてきた少年。
大きくなることを恐れた少年。
チェス盤の下じゃないとチェスをさせない少年。
チェスという馴染みのない世界を舞台にしていても
少年の不安や喜びがこうもイキイキと伝わるものなのか。
なんか、すごく素直に読めたなぁ。
しかも泣けた。

猫とか鳩とか、控えめに人に寄り添う動物の存在がまたよかった。
これまで読んだ小川さんの作品の中で、一番好きだ。


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ミーナの行進 (中公文庫)
中央公論新社 2009-06
評価

by G-Tools , 2010/05/20




幼い頃に体験した夢のような日々。
短かかったからこそ、鮮明に記憶に残る一時。
一人の少女が体験した特別な一年を描いた物語。

のっけから哀しみをはらんだ文章だったので、何かあるのではないかと身構えながら読んでしまったが、あったのは、過ぎ去りし日への郷愁と哀切だった。

親元を離れ、親戚宅へと預けられることになった中学生の朋子。
息をのむような大豪邸に、親の心配などよそに、夢のような日々が始まる。
飲料会社の社長である伯父さんの家は芦屋の一等地にあり、ドイツ人の血をひく伯父さんは俳優のようにかっこよく、颯爽とベンツを乗りこなす。ドイツ人のローザおばあちゃん、伯母さん、従妹のミーナ。食事担当の米田さんと、庭師の小林さん。そしてペットのカバのポチ子。

観るものも、食べるものも、すべて一流。満たされたように見える家だけど、長く家をあける伯父さん、留学中のお兄さん、家ではお酒を飲んでいるだけの伯母さんなど、足りないものもいっぱいあるミーナの家。
そんなミーナは喘息もちで弱い体ながらも、毅然とすごしている。ポチ子の背中に乗って通学し、小学生とは思えない読書量を誇り、そして、とてもキレイにマッチが擦れる。

描かれているのは朋子とミーナの素敵な一年なのに、
なんで、哀しい気持ちになったのか?
この家の人たちはみな穏やかで優しいのだけど、みんな何か哀しみを抱えているからなのか。
長いこと国に帰っていないローザおばあちゃん。
家族を持たず、生涯をこの家にささげた米田さん。
伯父さんからの愛を逃してしまった伯母さん。
そして健康な体と健全な家族をもてなかったミーナ。
そんな家族のゆがみが朋子には見えていた。
何とかしてあげたいという思いを控えめに感じている朋子の思いが哀しい気持ちを伝えてきたのかも。
なんとも密やかでつつましい物語でした。

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海 (新潮文庫)
小川 洋子
新潮社 2009-02
評価

by G-Tools , 2009/05/20




ブログを見て、小川洋子さんの本を読むのがものすごい久しぶりなことに気づく。
なんかずっと読んでた気がしてたんだけど、ブログ始める前に結構読んでたんだな。

これは短編集。相変わらず、どこの国かわからない不思議な雰囲気と、静かな世界が広がっていました。長編に比べると、不思議感は弱く、その分読みやすいかも。
「バタフライ和文タイプ事務所」が好きです。
キーボードの上に広げた手がまるで蝶のようだから・・・と付けられた社名からして素敵ですが、内容もユーモアに溢れていて面白かった。タイプライターと活字管理人のやり取りを描いていて、欠けてしまった活字を取り替えてもらうため、活字管理人とガラス越しに会話をする二人のやりとりがなんともいやらしい。
主に医学部の論文を打っているため、壊れた活字が「糜爛」の「糜」であったり、「睾丸」の「睾」だったりする。普段あまり口にしない部位の名称がバシバシ入った文章を生真面目に打っている様とか、確認のためにそんな文章を大きな声で読み上げている様が、なんともおかしい。
この短編は官能小説を描いて欲しいと頼まれて、描いたものだとか。なるほど。こんな風に官能小説を描ける小川さんが素晴らしい。

相変わらず不思議職業が出てくるけど、よく思いつくよな・・・

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密やかな結晶
小川 洋子〔著〕

博士の愛した数式』を読んで以来、少しずつ小川洋子さんの本を読んでいる。今のところ一番読みやすかったのが『博士の愛した数式』で、他の作品は怖かったり、物足りなかったりするけど、全ての本に共通する空気感のようなもの、非現実的な世界観とでもいうのか、その雰囲気が嫌いじゃないのでいまだに読みすすめている。

この本は、”消滅”が起きる島の話。少しずつ島から色々なものが”消滅”していく。それは、香水であったり、写真であったり、鳥だったり。
それらのものは世界からなくなるわけではなく、この島だけである日突然消えるものが決まる。人々はそれらを川へ流したり焼却したりして、自ら存在を消す。そうして記憶は薄れ、その存在自体を忘れてしまうのだ。
中には”消滅”の影響を受けない人々がいて、彼らは秘密警察に”記憶狩り”という形で連れて行かれてしまう。
この島で小説を書いている女性を中心に”消滅”が進行していく話が書かれている。




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