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体の贈り物
レベッカ・ブラウン 柴田 元幸
マガジンハウス 2001-02
評価

by G-Tools , 2011/02/08




いろんなことを想う本。


エイズ患者たちのケアをしている女性が綴る患者達の末期。

「○○の贈り物」というタイトルがついて、短く章立てされているので、
ひとりの患者にものすごい思い入れがあったり、ドラマがあったりというものではない。
ただ淡々と、彼女が立ち会った人々の死に際を描く。
そこには感傷的な哀しみも憐れみもなく、死に囲まれた彼女の生活と
死を目の前にした人々の様子がある。
ひとりで数人のケアをしている彼女が保つ患者との距離感が
リアルに描かれているように思う。

感情を込めていたら、到底できない仕事だと思う。
ただ死を待つ人たちに明るく接し、友人のように振舞いつつも
手袋を欠かせない触れあい。
昨日は元気だったのに、今日はもう・・・
そんな毎日を送る彼女が、徐々に気持ちを弱らせていく様が
とても人間らしくて、胸にくる。


ただの病気ものの、お涙頂戴小説と思うなかれ。
そんなものじゃないから。
実際、私は一滴の涙も流さなかった。
彼女が綴るこの小説は、人が死ぬということのリアル、
それは昨日までいた誰かが今日はいない、という事実、
そして自分の知る大事な人が病気になるという衝撃を
すごくすごく慎ましく発信する。
この、さざ波程度の感情の揺れが読者にどう届くか。

号泣はなくても、胸がキュッと痛む。
そして、自分の死に際を想う。
私は誰かに何かを贈れているだろうか、そして何かを受け取っているだろうか。
贈り贈られの人生を歩めているだろうか・・・


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私たちがやったこと
レベッカ ブラウン Rebecca Brown
マガジンハウス 2002-09
評価

by G-Tools , 2010/08/09




愛の短篇集。
この本で初めて知ったんですが、この作家さんは同性愛ものが多いみたいですね。まぁ、同性愛の恋愛小説だから、どうという本ではないのがいい。
同性、異性関係なく、二人の間で起きること、二人の愛が壊れる時、そういう移り変わりが描かれている作品集。

表題作は、結構衝撃。

「安全のために、私たちはあなたの目をつぶして私の耳の中を焼くことに合意した」

という文言から始まる物語。
とても静かに語られるこの愛の物語は、なんだかとても悲しい。
強く結びつくために、二人だけの世界を確立するために行ったこの愚かな秘密が、二人を身動きの取れない関係にしてしまう。
依存しあわなければ生きていけない関係は、愛の形として間違っていると思う。
彼らのようにどっちかがいなければ生きられない状況では、なにを共感すればいいのか。
”あなた”が聞いている音を聞くことができない”私”。
”私”が観ている景色を見ることができない”あなた”。
自分たちを傷つけ、絆を失う二人の哀しい愛。
それほどまでに愛することができた人とめぐり合ったことを幸せと思えばいいのか・・・

この短編以外にも、いつか二人の愛がひずみ、損なわれることを描いている作品ばかり。
同性愛を描く作家だから、結末にハッピーがないのかな?
愛なんて、絶対に永久じゃないという考えなのかな?
ま、賛成だけど(笑)。
でも、せめて小説の中だけは、幸せを見せて欲しいとも思ったりする。


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犬たち
柴田 元幸
マガジンハウス 2009-04-23
評価

by G-Tools , 2009/09/19




正直に言うと、私はこの本を理解できなかったと思う。
難しい。でも、そんな難しいことが書いてあったわけでもないと思う。
書かれていることをどう理解したらいいのか・・・それが人によって違うような気がして、自分なりの解釈がつかないまま、読み終わった感じ。

ある日突然狭い家の中に現われた黒い犬。
その犬は家の中だけでなく、家の借主である「私」をも侵食していく。
受容→共存→依存→服従→逃走と変化していく犬と「私」の関係。
その犬は、恋人を表しているようでもあり、家族を表しているようでもあり、そして「私」の内面を表しているようでもある。

私を混乱させるのは、主に章タイトル。そこから何かを読み取ろうとすると、たちまち見失ってしまう。なので、タイトルについては考えるのをやめよう。
作者の描写が上手いので、犬の質感や部屋に漂う犬の存在感、そういったものがすごくリアルで、「私」の孤独や劣等感も気が滅入るほど、伝わってくる。
希望のない暗い人生に突然入り込んできた”犬”。果たして、彼女は救いの天使か、破滅の悪魔か。はたまたただの幻想か・・・

ああ、やっぱりどういう気分で読むのがいいのか、よくわからない本だ。ちなみに私は暗い気持ちになりました、と。

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