乃南アサさんはとっても久しぶりに読みました。
前回に引き続き、アタマを使いたくない本をセレクト。
そういう意味では正解。難しいことを考えることなく、ただ読めた。
乃南さんの作品で、サスペンスじゃないのを初めて読んだ。
ん?良かったわ。ストーリーはありふれていて、とりたてて珍しい内容ではないけど、
やさしい感じで疲れているときの本としては最適。
大学を辞めて、ひったくりで毎日をなんとか生きている青年・翔人が、ヒッチハイクの途中降ろされた山の中で老婆と出会い、図らずも田舎生活を始める。
心のすさんだ青年が人の温かさにふれて更生する・・・というあらすじとしてはとてもありがちな小説。でも、宮崎弁の柔らかさとか、老人たちのおせっかいとか、気持ちよく読める。
翔人という青年の描き方が上手い。自分のしている事に無理やり理由をつけたり、色んなことを人のせいにしたり、でもどこかでこんな自分ではいけないと無自覚で思っていたり・・・多分今の世の中にはありふれている青年の人間味とか、そういうの。
凡庸だけど、人と一緒にご飯を食べたり、会話をしたりすることの大切さを、そんなに嫌味じゃなく感じられる。まぁいい話はそれなりにいいよね。
ドラマ制作者が選びそうな本だな。2時間スペシャル枠でドラマ化される日も近そう。