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九月が永遠に続けば (新潮文庫)
沼田 まほかる
新潮社 2008-01-29
評価

by G-Tools , 2011/12/24



これがまほかるかぁ~~
あちこちの本屋のポップで絶賛されてるし、
書評でも名前を見かけていた、まほかる初読。

文字の運びに引っかかりが全くなかったので、
すごく気持ちよく読めました。
どういうことかっていうと、
物事の合間に差し込まれる、ちょっとした心情だとか風景の描写っていうのが
全然ピンとこなかったり、言葉のチョイスにん?ってなったりする作家さんが最近多い中で、
まほかるさんの描写は心に染みこんできた~ってことなんです。

ま、理由は単純に中年女という共通点かもしれんけど(笑)
センスが合うということでもあると思う。

女であること、若い女や美しい女に心のどこかで畏れをいだいていること、
ある一定の年齢を過ぎた女たちが本能で感じる、そういった感情が
この本の根底には流れている気がする。
罪の意識、敗北感、渇望・・・

この本を読んだ男たちは、この水沢をどう感じるんだろうか?
いい年をしてみっともない?醜い?恥ずかしい?
男といっても、息子文彦の世代と、父親の雄一郎の世代、
犀田の世代と、全然違う読後感なんだろうな。

私は、この登場人物の中で一番腹立たしかったのが文彦。
(ネタバレしますよ↓)
こいつは誰に対しても失礼だった。本音で接してない。
子を失う母親の気持ちも、自分に思いを寄せる同級生たちの気持ちも
父親の気持ちも、結局優しくかわすようでいて、無視してるだけ。
父親に対する勝手な怒り。
この雄一郎と亜沙美の間の感情なんて文彦にわかるわけがない。
どんなセックスを二人がしてようと、それが悪と判断できるのは当事者だけだ。
何を救った気になってるんだって話だよ。
何よりも!夫と息子を同じ女にとられる母親の身にもなってみろ!
その感情は物語には一切書かれていないけど、
私はこの部分が一番傷つくと思うぞ。
こんな暴力ってない。

この結末にしてもそうだけど、この本は女に対する侮辱や凌辱が色濃い。
果たしてそれを感じて読む男性がどれほどいるのだろうか。
そこも気になる。
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ころころろ (新潮文庫)
畠中 恵
新潮社 2011-11-28
評価

by G-Tools , 2011/12/19


お馴染み、しゃばけシリーズ。
定期的に刊行されることの幸せさ。
いつシリーズが尽きてしまうかとドキドキしながら
新しい話が読めるのをいつも待っています。

今回は、なんと!
若旦那が目の光を失ってしまいます!
そして、光を取り戻すまでの兄やたちの奮闘が
いくつかのお話に分かれ、1冊を構成してます。

今までで一番、よくできているというか、
小説として、構成がすばらしいと思う。
物語の面白さとか登場人物のキャラクターで
ある程度以上、満足して読めるこのシリーズ。
今回は、一つ一つの話のクオリティと
縦軸にある若旦那の目の話との組み立てが天晴れ!

さらに、若旦那が視力を失っていることで、
これまでと違った感じで周囲が描写される。
それがそれぞれの物語をより謎めいて見させているという、
あらゆる点で、巧さを感じました。
偉そうに聞こえちゃうけど、
確実に畠中さんの技量があがっているのだと思う。


ファンとしては、二人の兄やが活躍すると嬉しくなるのだけど、
今回は特に佐助のおもわぬ話があったりと、
二人の頼もしさが存分に楽しめて幸せでした~
あ~鳴家が欲しい。。。

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困ってるひと
大野 更紗
ポプラ社 2011-06-16
評価

by G-Tools , 2011/12/16



人生って何が起きるかわからんなぁ~としみじみ思う本。

ビルマの難民救済活動に精を出す1人の女子大学院生が突如病気になり、
自分自身が”難”を抱えることになった経緯を書いた本。
彼女がかかったのは、超難病。
原因も治療法も未知の世界。

発病から、治療をしてくれる病院探し、
医療制度との格闘、必死の退院・・・という経緯を
ものすごくライトなタッチで書いてます。
彼女の性格もあるけど、人ってあまりの思わぬことを前にすると、
その一つ一つをこういう風に観察してしまうんだろうか。

闘病記にならないように・・・と心がけて記されている
不運な女子の病気との出会いは、明るく笑い泣きの毎日だけど、
でも絶対笑えない一瞬一瞬も行間から感じられました。

東日本大震災もだけど、同じ歳のバリバリ働いていた同僚が
ガンで逝ってしまったり、と個人的にも”生きる”っていうことを
考えずにはいられない年だった。
自分があまりに無為に生きているんではないかと、自省の念に押しつぶされそうな毎日。
私、生きていてもいいですか?っていう問いは、
この更紗ちゃんが言うならまだしも、私なんかが言っちゃいけないな。

親や友人に多大なる負担をかけながらしか生きられない更紗ちゃん。
きっとこの重荷に堪えられなくなる時もあるだろうし、
なぜ、自分が・・・ということも絶対考えるだろうし、
それこそ死にたくなる瞬間なんてしょっちゅうあるはず。

でも、病院から出て、こうして本を書いて、生きてる。
果てのない治療を続けていかなきゃいけない。
仕事なんていつできるかわからない。
それでも、前へ踏み出した。

すごいな。



困ってるのはよくわかった。

ちょっとずつでも困ることが減るといいなと思う。


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AXNミステリーチャンネルで放送しているドラマなんだけども、
1994年開始とかだから、ちょい古めの、ウィーンが舞台の刑事ドラマ。
これがねぇ、大好き!!なのぉ~~

刑事ドラマといっても、主役は警察犬のREX。
そう。獣バカにはたまらない内容です。

前からちょくちょく見てたんだが、今回新シリーズ放送にあわせて
一挙放送してたのね、で、シリーズ1からシリーズ3まで
このところ毎日のようにニヤニヤしながら楽しんでました。

求められていない気もするけど、気持ちを抑えられないので、
勝手に開催!

題して、「REX」のここが好き!!

1.シェパードのREXが超絶かわいい!

  動物ものでかわいいのは当たり前ですが、お父さん犬の比じゃない演技力で
  毎回、いろんな顔を見せてくれます。
  刑事たちのソーセージパンをランラン♪と買ってくるREX。
  同僚の刑事に毎回何かイタズラを仕掛けるREX。
  相棒の刑事が大好きすぎて、その彼女に超嫉妬するREX。
  一生懸命走ってる時の耳が後ろになびいているREX。
  哀しみをカンヌ俳優並みに表現するREX。
  と、REXの一挙手一投足がかわいい!!

2.刑事役リヒャルト・モザーが新しいタイプのかっこよさ!
 
  オーストリア人の俳優さんになじみがないので、この俳優さんがイケメンかどうかは
  わからないんだが、見れば見るほど味が出てきて、
  最近では、メッシに見えてきて大好き。
  あとヨーロッパならでは(?)平気でお尻も写るので体も楽しめるww

3.ウィーンの町並みが映画みたい!!

  大概、薄暗い灰色の空をしているウィーンの街。
  でも、警察の建物にしろ、事件現場にしろ、もう街が美術館みたい!
  そんな骨董品みたいな街を毎回疾走するREXとモザーは絵になる。


あ~スッキリしたww
でね、ネタバレになるんだけど、まさかの主役が交代するっていう
うそみたいな展開もあったりするんだよね。
シリーズ3でモザーがあっさり殉職。
シリーズ4から新しい相棒刑事になるのである。
しかも、この刑事役、シリーズの最初の方で殺人犯役で出演しているっていう
むちゃくちゃさ(笑)
一挙に観て、そういうフランクな制作スタイルが露見しましたww
ま、あくまで主役はREXなので、相棒が代わったっていいだろうってか?
モザーの死に際はあっさりしすぎて泣けないが、
シリーズ4のアタマ、悲しみにくれるREXは相当泣ける。
犬ってこんなに演技できるんだねぇ。
撮影者の苦労がすごいんだろうけど、本当にすごい。

シリーズ5が来月から始まるのが楽しみ~~

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向日葵の咲かない夏 (新潮文庫)
道尾 秀介
新潮社 2008-07-29
評価

by G-Tools , 2011/12/13



これはホラーミステリーというジャンルになるの?
良く知らないけど、道尾作品に免疫がないもんだから
気楽にミステリーだと思ってお風呂で読み始めたら、
なんだかどんどん怖くなるじゃん!!
お風呂に入ってるのに、冷えたよ背中が!!
あ~びっくりした。


死んだはずの同級生が空飛んでたり、
部屋空けたら、あ”~っていたりって、
超怖かったんですけど・・・

そこ以外にも、スリルある描写が結構ありまして
怖く感じるということは、それだけ筆力があるということで、
これが道尾さんの実力ですか~と納得。
イチイチ登場人物が不気味なんだよね・・・
みんな怪しいというのは、ミステリーの王道ですが、
この本の場合、みんな不気味という。。


獣を愛する私としては、
犬猫を殺す話は本当にキライなんだけど、
その不快さをさらりと描写するところなんかは、
ノーマルな精神状態を確認できてちょっと安心。

展開が見えてきたときに、そういうことかぁ~と
うなってしまった。
決して、奇抜でも新しい手法でもないんだけど、
それを気づかせない、わかってもがっかりさせない
テクニックのある小説でした。

好き嫌いはあると思うけど、上手い本。

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尼僧とキューピッドの弓 (100周年書き下ろし)
多和田 葉子
講談社 2010-07-24
評価

by G-Tools , 2011/12/12




多和田さんの本は2冊目。

ドイツの田舎にある修道院を訪ねる一人の女性。
彼女の一人称で始まる物語はちょっと唐突な感じで、少し戸惑う。
多分それは、ドイツの修道院と日本人という馴染みのない組み合わせが
説明無しに展開されるからだろうな。
こういうのを読むと、普段いかに親切な(余分とも言う)文章に慣れてしまっているかが分かるな。

読んでいくうちに、彼女のお気楽なというか、ちょっとふざけた感じの
思考や描写が面白くなっていく。
尼僧たちに変なあだ名をつけ、彼女たちを観察するその視点がユニーク。
このあだ名は結局私を混乱させることにしかならなかったけど・・・
もしかしたら、ドイツ語の音感を日本語に当てはめてるのかな?とも思うが
分からずじまい。
修道院というなにやら敬虔でお固そうな場所と
気楽で勝手な彼女の思考のバランスが面白い。

そして、この日本人は修道院を取材するために体験滞在をしているようで、
そのコンタクトをとっていた尼僧院長はもういなく、
この元尼僧院長は男と駆け落ちしたらしいと分かる。

そんな日本から来た”私”が観察する修道院の様子を描いた一部と
その本をアメリカで発見した元尼僧院長の独白が二部。

私はこの二部、好きだなぁ。

修道院に残っている尼僧も、修道院を出た元尼僧院長も
平穏を求めていながらも、情熱への憧れを捨てきれない、
女とはそういうものなんだろうと、教えてくれる。

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サラの鍵 (新潮クレスト・ブックス)
タチアナ・ド ロネ Tatiana de Rosnay
新潮社 2010-05
評価

by G-Tools , 2011/12/01



もうすぐ映画が公開されるので、その前に、とあわてて読み始めた。

泣いたわ~
ナチスがらみの話はめちゃめちゃ久しぶりに読んだ。
というより、本としてちゃんと読んだのは「アンネの日記」くらいじゃないだろうか。
きっと多くの人がそうだと思うんだけど、ナチスによるユダヤ人大量虐殺は
あまりに陰惨で理不尽で、目を背けがち。
映画だと頑張って観てみるんだけど、本だとかなりしんどい。

でも、この本はとても読みやすかったな。
重さに押しつぶされず、スルスルと涙を流しつつ読める。
それは、ノンフィクションノベルではなく、
小説としてストーリーが構築されているからだろう。

パリを舞台に、パリ在住のアメリカ人ジャーナリストが追う、
1942年の夏、パリのど真ん中で起きた悲劇。
フランス人でも知らない人が多い、フランスが加担したユダヤ人の一斉検挙。
そのとき、フランス人は何をして、何をしなかったか・・・
戦争中だったから、仕方がなかった・・・そういう思いの中で
記憶に埋もれてしまった悲惨な事件。

その事件を調べることになった女性ジャーナリスト、ジュリアは
フランス人と結婚しパリを愛しながらも、夫や夫の家族との間にある壁を
ぬぐいきれずにいた。
その外国人としてのジュリアの視点が絶妙に、この事件の追及と合わさる。
かつて、マレ地区のアパルトメントから連れて行かれた少女サラに起きた
出来事と、現在のジュリアの周りで起きる出来事の交錯が見事!

パリに行ったことがある人は分かると思う、パリジャンたちの気質やパリの街並。
古く豪奢な建物は堅牢な扉で閉ざされ、中にどういう生活があるか一見すると分からない。
そういう建物と同じように、パリに住むフランス人たちも誇り高く、気安くはない。
そんな国で目を背けられた忌まわしい過去の出来事。
そこを掘り起こす苦労と、事実と向き合う痛み。

その人の人生が変わってしまおうとも、
知らなくてはいけない真実がある。
多くの人が傷つこうとも、
知らせなくてはいけない真実がある。
歴史というのはそういうものなのだと、
ジャーナリストというのは、それが使命なのだと
色々な想いを抱いた本でした。
名著です。

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