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真鶴
川上 弘美
文藝春秋 2006-10
評価

by G-Tools , 2007/06/08




ほぅ・・・。久々に川上弘美さんらしい長編を堪能させていただきました。かなりいいです。地に足が着いていないような女性、川上さんの言葉を使うと”輪郭がぼやけている”女性、そんな人を書いている川上さんの作品が好きだ。ことさらこの本は”溶けてしまいたい”感じがよく出てる女性。でも、いつでもそんな彼女たちはふらりと消えてしまいそうでいて、ちゃんと戻ってくる。着いていないようでいて実は着いているのだ、足が、地に。

失踪した旦那の影を引きずったまま十何年を過ごした女、京(けい)。母親と、娘の百(もも)との女3人で暮らしている。10年近く付き合っている恋人もいる。だが、旦那の影が常に付きまとう。礼を想い、真鶴に足を運ぶ京。彼女についてくるぼんやりしたものたち。真鶴へ通うことで、礼とのつながりが濃くなり、やがてお別れをする。愛する人を思い切る過程が記されている。
何でしょう。とにかく、登場人物たちの名前の響きがいい。そして何てことのない描写なのに、とても切ない瞬間がある。ただ百を見つめて思うことを書いているだけなのに、なんだか泣きたくなる瞬間がある。
子どもを持つ友人のことを思い出した。そして、子どもを欲しくなるような怖いような、そんな気分にさせられる。
子どもが近くなったり、遠くなったり、そういう時期って子ども側として、あったなぁと思う。自分の親もそんな風に一喜一憂してたのだろうか?とか、色々な自分の中にある”近い”存在に思いを馳せる。

失踪した旦那への想い、というよりも、娘の百との関係性がとてもいい本だと思う。一行一行をゆっくりと咀嚼しながら読める本。名前の響き、風の音、雨の匂い、残り香・・・そういう生活の中の生々しいことが伝わってくる本。『せんせいの鞄』以来の傑作だと私は思う。
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テーマ:読書感想文 - ジャンル:小説・文学



















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