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少女七竃と七人の可愛そうな大人
桜庭 一樹
角川書店 2006-07
評価

by G-Tools , 2007/06/08




ずっと気になっていて、文庫まで我慢、我慢と堪えていたのだけど、買っちゃった。桜庭一樹氏は初めてかな、多分。なんかアンソロジーで短編を読んだような気もするけど。
結構好きだな、これ。古臭いというか、しゃちほこばったというか、堅苦しい文体を意図して使っているけど、それが意外に心地よい。

”辻斬りのように”男と寝た母親の色狂いのせいで父親は不明だが、とてもとても美しく生まれてしまった少女・七竈(ななかまど)。成長とともにその美しさは抜きん出て、旭川の閉ざされた町中で息苦しいほどに目立ってしまう。そしてその美しさが誰も何も証明せずとも父親であろう男を明らかにしていた。その男は七竈の親友であり、七竈と同じくらい美しい少年・雪風の父親であった。
”いんらん”に自由に生きる母と、狭い町で人々の視線を一心に浴びながら、うつむきがちに生きる娘。そしてこの親子に関わりのある大人たち。それぞれの不幸が淡々と描かれている。
例えば、雪風の母親。彼女は七竈の母親、優奈の唯一の友人だが、七竈が成長するにつけ、自分の旦那や子供たちとどんどん似てくる彼女をどんな目で見て、そして友人の優奈をどう思っていたのか。
例えば、雪風の父親。自分の息子・雪風が自分と、そして息子とよく似た美しい少女と仲良くしているのをどんな気持ちで見守っていたのか。
何より思わずにいられないのは、七竈と雪風の心情。育つほどに相手の顔に自分の面影を見つけながらも、目をそらさずにいられなかった七竈と雪風。美しくて哀しい二人の子供。
彼らはその美しさをもてあまし、鉄道オタクという共通点をもってして、2人の世界にひきこもる。それでも、引きこもったその鉄道ワールドで、2人は自分たちの愛情や戸惑いを直接にぶつけることなく、ただただ汽車を行き来させていた。

あっさりとどこか滑稽に描かれているけど、これは色んな哀しみが詰まってる本。異形の者に生まれた哀しみ、凡庸に生まれてしまった哀しみ、年を取る哀しみ、恋が叶わぬ哀しみ・・・七竈と雪風の抱える哀しみだけでなく、みんながみんな色んな哀しみを抱えている。その哀しみを口にせず、ただじっと暮らしている人たち。きっと狭い町で暮らしていくためには口を閉ざしているのが一番なんだろう。だから、町を出れば、七竈の母のように、町を出れば薄らぐ哀しみもいっぱいあるはず。
これは、狭い世界でしか生きられない少年少女の青春小説なんだね。
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テーマ:読書感想文 - ジャンル:小説・文学



















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