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私の男
桜庭 一樹
文藝春秋 2007-10-30
評価

by G-Tools , 2008/03/15




すごいなぁ、この本。養父との関係、近親相姦系の話だとは既に知っていたので、その手の話を苦手とする私は結構構えて読み始めたけど、最初の章で、あっという間に淳悟と花の世界へ引き込まれてしまいました。
結婚を期に“私の男”と離れることになった現在から、数年ごとにさかのぼる構成。私は1章目でぐっと心つかまれて、思わず泣いてしまったけど、これ順番どおりの構成だったら、現在の章をどう読んだだろう?
過去へさかのぼるごとに、濃密な空気になって、どんどん狭くなっていく洞くつを進んでいるようだった。息苦しくて、外へ戻りたくなる。過去へ行けば行くほど、何で?という気持ちにはなるけど、最初の章があるから先へ進める。離れた現在があるから、過去を覗ける。

章ごとに、2人の転機となる出来事が一人称を変えて描かれる。花の婚約者・美郎や淳悟の恋人だった小町らの目線からの2人も描かれていて、2人の濃密な感じ、忌まわしい関係が浮き彫りにされる。この第三者からの視点があって、読んでるほうとしては助かった気分。なにより、花と結婚する美郎は何も知らずに結婚するわけじゃないんだと思って、なんだかほっとする。知った上での彼のこの行動はある意味怖い。この男、底が知れない。幽霊も見えるし、何もんだよ(笑)!
ただのふしだらな小説と言われても仕方がない気もするし、ひとりよがりな感も否めないけど、私個人としては、忌まわしさを超えて、花と淳悟の関係性をうらやましいと思ってしまった。15年もの間、ただ相手だけを必要としていられる関係なんて、そうそうない。桜庭さんは恐らく世の中でもっとも濃いものを“血”と考えてるんだろうな。その濃いつながりをどう発展させるか。『赤朽葉家?』や『少女七竈?』においても“血”というものにこだわりをみせていた桜庭さんだけに、今回は“血”をめぐる濃密なストーリーを書いてしまったのね、きっと。
普通にいれば意識しない家族だけど、この2人にはそれがなかったから、“血”の濃さを間違った方へつなげてしまったのかな。

これ紹介文に「親子の禁忌」って書かれてるけど、親子よりも人としての禁忌をいっぱい犯しているよね。花が生まれた経緯もそうだし、2人は既に禁忌を犯しているから、他の罪も犯せるのか?
花が「これから何を奪って生きていけばいいんだろう?」ってつぶやくところがあるけど、そういうほど、彼らは何かを奪って生きてきたっけな?人2人の命以外に・・・と腑に落ちないこともありつつ、結局のところ、花が悪魔なんです。淳悟も言ってたように。そう思って読むときっとまた読後感が異なるんではないかしら。あと、女性が書いているから嫌悪感が少ないっていうのもあるかもね。この関係性を男性が書いていたら、また違った作品になっていたでしょう。

なんだかんだで、私は好きです、この本。表紙もいいし。大好きなエゴン・シーレーの絵に似てると思ったら、マルレーネ・デュマスという方の絵だそうです。こういう絵、好き。
あとは、桜庭さんが描く淳悟がドンピシャで好みっていうのが大きいかも(笑)。乾いた肌に長い手足・・・ストライーク!
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テーマ:読書感想文 - ジャンル:小説・文学



















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