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夜更けのエントロピー (奇想コレクション)
ダン・シモンズ 嶋田 洋一
河出書房新社 2003-11-23
評価

by G-Tools , 2008/05/17




奇想コレクション6冊目。
いや?これもまた期待を裏切らない一冊。しかし、これまで読んだ奇想コレクションシリーズとはかなり違う。これまで面白おかしいSFが多かったのに対して、この一冊はホラー寄りの短編が多かった。あと、ベトナム戦争と子どもを失うというキーワードがいくつか。
なんと、奇想コレクションの1回目の配本なんですね。読むたびに思う、このシリーズの編者はセンスがいい。以下7編。

「黄泉の川が逆流する」
「ドラキュラの子どもたち」
「夜更けのエントロピー」
「ベトナムランド優待券」
「ケリー・ダールを探して」
「最後のクラス写真」
「バンコクに死す」
(順番どおりではないかも)

どれも面白かった。「黄泉の川?」は復活した死者と暮らす家族たちの話。薄気味悪いね?でも復活した母を取り巻く家族たちの崩れていく様子がなんとも哀しい。暗いほう、暗いほうへ行きたがって家の中の暗がりにたたずむ母親の描写とか、いい。
「ドラキュラ?」は描写が怖い。チャウシェスク死後のルーマニアという舞台も怖い。確かドラキュラ公ってルーマニアでしたっけね。
表題作「夜更けの?」はホラーでもSFでもなく、子どもを失うことを恐れすぎて神経過敏になっている男の話。この短編集に入っていることが不思議な感じのする小説だけど、この一編があることで、この作家の幅がグゥッと広がる。
ベトナム戦争を再現したアトラクション“ベトナムランド”を描いた「ベトナムランド優待券」、不思議な世界へ誘われ、かつての教え子と闘うことになった「ケリー・ダールを探して」、子どものゾンビたちを集めて教育をする女教師の戦い「最後のクラス写真」、バンコクで吸血親子に復讐を企てる元ベトナム兵士「バンコクに死す」・・・

吸血鬼、ベトナム戦争、ゾンビ、教師と子ども、などいくつかの共通のキーワードが散りばめられて、ダン・シモンズという人の構成要素のようなものが色濃く出ている短編集だと思う。
全体的に80年代のアメリカ映画の雰囲気があって、特に『トワイライトゾーン』を思い出した。ちょっと不思議で、うっすら不気味で、人類に対するちょっとした皮肉、のような話。
グロイ描写もけっこうあるけど、よくできた話の数々でした。
ただ「面白い」の意味合いは他の奇想コレクションのように「愉快」とか「面白おかしい」とは異なるので注意。
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テーマ:読んだ本。 - ジャンル:本・雑誌



















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