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ねじの回転―February moment (上) (集英社文庫)
恩田 陸
集英社 2005-12
評価

by G-Tools , 2008/07/08



久々に恩田作品。二・二六事件にまつわるSFと捉えて日本史苦手意識バリバリの私はつい読むのを後回しにしていた本。
おもろかったわ?バリSFでした。時間を遡れる技術を発見した世界。現代の厄災から逃れるために歴史に修正をしようとする国連の職員たち。その修正点に選ばれてしまったのが、二・二六事件である。若い将校たちが国の将来を憂い、意を決して起こしたクーデター(で、あってるか?)。しかし彼らは叛乱軍とされ、処刑、親族は国賊にされてしまう。そんな事件を何度も繰り返すハメになった将校たち。

タイムトラベルものはSFでよくある話だけど、この作品が面白いのは、”歴史は自己を修正する”という理念のもと、コンピューターに入力されたとおりの歴史を繰り返し、齟齬があった場合、強制的に時間を巻き戻して、またやり直さなければならないというシステム。限られた時間の中で再生しなくてはいけない歴史。やり直させる方としては、作業にしか過ぎないが、当人たちにしてみれば、たまらない。自分たちの起こしたクーデターの結果を知った上で、闘わなくてはならない辛さ。
時間遡行システムや、当事者たちの葛藤や、うまいこと描かれています。
タイムトラベルものだと、コニー・ウィルスの『犬は勘定に入れません』もとても面白かったけど、日本史が舞台のSFもなかなか楽しかった。
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テーマ:読んだ本。 - ジャンル:本・雑誌



















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