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砂漠
伊坂 幸太郎著

伊坂氏、久々の新刊。『魔王』はエソラで読んでしまってたので、待ち望んでいた新作。

私の中の伊坂ベストは更新されなかったけど、思わず自分の大学時代を思い起こしてしまった。淡い時間を描いていて、あったかくなった。伊坂氏の描く人物はいつもとても魅力的なんだけど、この本はその良さを前面に持ってきた感じ。でも、いつもあるような登場人物のすれ違いはなかったです。ちょっと寂しい。泥棒は出てきたけど・・・。
ちなみに私の伊坂ベストとは、1.『陽気なギャングが地球を回す』 2.『グラスホッパー』 3.『ラッシュライフ』(『死神の精度』と悩むところ)

大学の4年間を春夏秋冬別のエピソードを通して書いている物語。春、入学式を迎えたちょっと冷めた大学生・北村はクラス会でその後友人となる個性的な3名と出会う。一瞬で北村の性格を理解した、やませみアタマの鳥井。誰もが目を見張るほどの美人なのに愛想がない東堂。そして、陽だまりのような雰囲気で超能力を持つ、南。そして、かわいくない小太りの男、でも一本気な西嶋。彼らが麻雀で集まったっていうのもニヤッとしちゃう。麻雀だけに東西南北。やっぱ大学生活に麻雀は外せない?やってたよなぁ、あっちこっちで。

まず、出会いの飲み会がいい。大学生活が始まる時の浮き足立った感じとか不安な感じとか、「こいつとは絶対今日だけの付き合いだ」みたいな奴が隣にいる感じ。大学の4年間を左右する瞬間だわね。場の描写とか北村の心情とか、やっぱ上手いね、伊坂さん。そして、遅れてきた個性派、西嶋の演説が印象的。世界平和のために麻雀をピンフ(平和)であがることに執着する男。彼のこのフレーズが本の中で度々北村の思いとして出てくる。
 ― その気になれば砂漠に雪を降らせることだってできるんだ!

うそーん。って思っちゃう哀しい大人な自分だけど、結局こんなことを口にできちゃうのが、大学生なんじゃないだろうか。ある程度世界というものが見えていて、でもまだ自分はそこに何の影響も与えてなくて、自分たちの可能性を過信できてっていう、そういう立場。やればできると思って、やる行動力とできないことを知る経験。大学の4年間ってそういう時間なのかもしれない。

登場人物たちの生活を読んでいて、果たして自分はどんな学生だったかと考える。きっと西嶋が近くにいたら巻き込まれてただろうなぁ。楽しむことだけに全力を出せなかったし、でも何をしたらいいのか分からずに結局時間を無駄にしてしまっていたような気がする。かといって何がしたかったわけでも、後悔してるわけでもないんだけど、大学時代ってそういう風に色々と無駄と思えることで悩める時代でもあったんだろうな。
大学時代を懐かしんでたら、最後に身につまされる言葉が。

 ― 学生時代を思い出して、懐かしがるのは構わないが、
   あの時は良かったな、オアシスだったな、
   と逃げるようなことは絶対に考えるな。


・・・はい。気をつけます。そう、私たちはもう砂漠に踏み出してしまっている。オアシスを探し求めるのではなく、砂漠での生き方を見つけなくてはいけないのだ。
それにしても大学で流れる4年という月日をうまく描いてる本。この本、高校の時とかに読んだらどう思ったんだろう。読者の年代によって感じ方がかなり異なる本のような気がする。
これから大学へ行く人にはきっと意味のある言葉。
 ― 人間にとって最大の贅沢とは、人間関係における贅沢のことである


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