上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

photo
ペンギンの憂鬱 (新潮クレスト・ブックス)
沼野 恭子
新潮社 2004-09-29
評価

by G-Tools , 2008/10/27



これはこれは素敵な本に出会ってしまいました。
内容は決して明るくないので、HAPPYな本というわけではないんですが、ペンギンの存在がもう・・・ズルイ!ペンギンにノックアウトですよ。

ウクライナのキエフに住む売れない作家ヴィクトル。動物園が飼えなくなったペンギンを譲り受け、一緒に暮らしているがそのペンギン・ミーシャはどうやら憂鬱症らしい。彼女とも別れ、書こうと思っている小説は一向に書けないヴィクトルは奇妙な仕事を引き受けることになる。新聞に載せる追悼文を書く仕事だ。しかしこの”十字架”と名づけられた追悼文はまだ生きている人の追悼を書く代物。この仕事を引き受けてから、彼の生活は徐々におかしな方へと向かっていく。

彼が何によって働かされているのか、彼の周りで何が起きているのか、きな臭さだけは感じられるけど、表立ってはわからない。そんな不穏な中で深く知ろうとせずに、ヴィクトルは流れに身をまかせ、ミーシャと少女とベビーシッターと平和に過ごす。
ウクライナの政情の不安定さや思考をやめたくなるような寒さがヒシヒシと感じられる中で、起きている不幸をミーシャが一身に引き受けてしまったようで、切ない。
よくわからないけど、国が大きな変化を遂げている時、そこに暮らす人々はただただ言われるままに、生きるためだけに行動しているんだろうなと思った。
ミーシャの身に起きていること(南極で群れて暮らすはずのペンギンが、動物園という狭い世界に入れられ、さらには氷のない家の中で暮らすようになったこと)は、同じようにキエフに暮らす人々の身にも起きていることなんだろう。

世界各国で翻訳されたこの本。著者のところにはミーシャの写真を撮らせてくれと、飼っていないことを全く信じてくれない記者からの依頼があるらしい(笑)。それほど世界中の人にこのペンギンは強烈な印象を残したんですね。ミーシャのその後が気になります。
スポンサーサイト

テーマ:読んだ本。 - ジャンル:本・雑誌



















管理者にだけ表示を許可する


| HOME |


Design by mi104c.
Copyright © 2017 たまゆらのつぶやき, All rights reserved.

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。