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リンさんの小さな子
フィリップ・クローデル〔著〕 / 高橋 啓訳

切なくてあったかい物語。素朴な文章は2人の老人の哀しいけれど綺麗な心を描きだす。世間から相手にされない孤独な老人の心の交流、それぞれの哀しい記憶が沁みてきます。

物語はリンさんという老人が一つのトランクと息子夫婦の忘れ形見である小さな女の子を抱え、ヨーロッパにたどり着くところから始まる。
言葉も分からず、見たことのない都市に難民としてやってきたリンさん。戦争で家族を隣人を村を、そして美しい故郷を失ったリンさんはサン・ディウという小さな女の子のためにだけ生きている。
そんなリンさんが公園で一人の男と知り合う。この男・バルクもまた妻を亡くし孤独な生活を送っていた。お互いの言葉を理解できなくても、仕草や微笑で心を通わすようになる2人。お互いの存在が心の拠り所となった時、突然お別れがやってくる。リンさんが難民収容所から養老院に連れて行かれてしまったのだ。友人に会いたいという想いがリンさんを突き動かす。終盤のリンさんの行動は祈るような気持ちで応援してしまう。
なんだか優しい本でした。老人に対する世間の無関心や嘲笑が哀しくさせる反面、老人たちの心根がとても美しい。誰に迷惑をかけるわけでもなく、ただ過ぎ去った日々や故郷を大切に思う気持ちを大事にしてあげたいと思う。
人は本当に孤独な時、言葉ではなく、人の温度とか仕草とか声音といった目に見え、感じられることで分かり合えるのかもね。
異国の地で孤独を肌で感じるリンさんにとって、バルクさんの手の温かさがどれほど嬉しかったろう。
サン・ディウだけを生きがいにしていたらリンさんはきっと長生きできなかったと思う。絶望がすぐそこにある感じ。でも、バルクさんと出会えたことによって少しでも生きていることの喜びを感じられるようになったはず。

生きていればいいことあるよ。そんな言葉が浮かぶ本でした。

文中には出てこないけど、リンさんの国はベトナムで渡航先はフランスでしょう。ベトナムからフランス・・・。あまりにも違う国。年老いてから一人で行くには辛すぎる航海。ベトナムという国はその美しさに反して哀しい過去がありすぎる。これはフランスで刊行された本だけど、フランスの読者には、私たちとはまた違う思いがあるんだろうな。
この本、映画化されそうな気がします。
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戦禍の故国。息子も娘も皆、殺された。 異国の港町に難民としてたどり着いた老人リ Sasaki-Blood【2006/03/12 01:50】
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