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荒野
桜庭 一樹
文藝春秋 2008-05-28
評価

by G-Tools , 2009/04/21




一瞬だった少女時代。キラキラと季節は移り変わり、ともに自分自身がめまぐるしく変化した時代。思い出すと、切なくて、哀しくて、愛しくて・・・
そんな誰もが経験した少女の時代を瑞々しく描いている作品でした。

桜庭さんの描く話はともすれば、昼ドラや大映テレビ、はたまた韓ドラみたいなストーリーが多く、今回も中学校入学の日に出会った少年が実は父親の再婚相手の連れ子だった・・・というなんとも、なお話なんですけど、そんなストーリーをベースにこんなセンチメンタルだけどさわやかな小説に仕立て上げるところがさすが!おもわず一気読みです。

恋愛(性愛)小説家の父を持つ荒野12歳。鎌倉の古い家に母は不在だが、幼い頃からの馴染みの家政婦さんがいる。恋愛小説を書くためなのか、常に父親の周りには多くの女の存在があったが、幼い荒野はその濃厚な雰囲気だけを感じ取っているだけで、現実を理解してはいない。
そんな荒野の中学校から高校へと成長する時期、”少女”から”女”への成長を描く。
なんていうんでしょう。本当に学生時代の教室の匂いまで感じられてきそうな、懐かしい気配。放課後の教室でこれといった理由もなく、悲しみに襲われて泣きたくなったあの頃。
自分自身の成長に戸惑い、周囲からの目線に神経をとがらし、漠然とした不安に苛まれ・・・という思春期特有の不安定な感じ。
優しくなれたり、残酷になったり、自分という人間性が揺らぐ日々。
自分の中だけでなく、周囲の変化にも敏感だったから、今よりもずっと季節の移り変わりを体感していたように思う。5月には草の、夏には太陽の、秋には木々の、冬には人の、あらゆる匂いを感じて生きていたような気がする。研ぎ澄まされた嗅覚とビビットな視覚。
ああ、もう自分はあんなにも濃密な生活は送れないのだと、改めて思い知らされた。
過ぎ去った今だからこそ、女になった今だからこそ、分かるあの時代。なんて素敵な日々だったんだろう。汚いことも、いっぱい知る時期だったけど、やっぱり素敵な日々だった。
大人になるとそうそうときめかないし、何かに胸を焦がすことなんて、ほとんどないよ。揺れない強さを身につけたのかもしれないけど、揺れてるのもいいもんだ。

とても共感できた2文。

  すごい勢いで流れ過ぎていく時間を、一瞬、フィルムに写し取られて、
  フラッシュの眩しさに荒野は泣きそうになる。


  おんなのこころ、はとても薄情で、愛してない男の言葉なんかで傷つかないのだ。


二番目なんて、14歳で既に女の特質を悟ってしまってるんだわね。女って怖いわ?
この本、男の人が読むとどう思うんでしょうねぇ。荒野を目指した悠也に共感するのかしら。

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テーマ:読んだ本。 - ジャンル:本・雑誌



















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