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若竹七海さんの作品で一番好きなのが、デビュー作『ぼくのミステリな日常』だ。まさにミステリーの魅力を教えてもらった作品。巧妙に仕組まれたストーリー展開に何度もページを繰りなおし、読み終わった時にはほぉ?とため息をついてしまった。これがデビュー作??なんて恐ろしい、そして頼もしい作家さんなのでしょう。
その後、若竹作品を読み続けているが、この人はあらゆるタイプの話を書く。『黒いうさぎ』のように後味の悪い、ダークな話もあれば、『死んでも治らない』のようにコミカル系の愛すべき探偵ものもある。まだ手を出してはいないがホラー系もある。
なので、かなり厳選して読むものを決めている。この『心のなかの冷たい何か』は若竹七海が登場する2作品目。そして初の長編小説。15年という月日を経て文庫化されたけど、果たして好きな部類の作品なのか、ちょっとドキドキしながら読んでみた。

たまたま旅行中に知り合った、若竹と全く異なるタイプの女性・一之瀬妙子。女同士でクリスマスを迎えるような女ではないはずの彼女が「クリスマスを一緒に過ごそう」と突然の電話をしてきた。しかし、彼女はクリスマスを前に自殺を図り、植物状態になっていた。そして物言わなくなった彼女から届いた「手記」。1回会っただけ、1回電話で話しただけの”友人”のため、素人探偵・若竹は奔走する。
この物語の軸にある「手記」。ここで語られる一人の男の犯罪。歪んだ精神で周囲の人を次々に毒殺していた男。この男が彼女を自殺に追い込んだに違いない!そういう思いで事件を探り始めるのだが・・・

まだ世の中がバブル景気の頃。若い社会人は合コンに明け暮れ、クリスマスはホテルを予約して恋人と過ごす・・・大企業に入った若者は自分たちと毛色の違う若者を見下す。携帯もパソコンも普及していない時代。この頃、人の心にあった冷たい感情は表には出てきていなかった。
今でこそ、人の心の中にある暗い感情が多くの事件を引き起こし、誰しも心の中に人には言えない何かしらの暗い感情を抱えている、ということを理解している。若竹さんはきっとバブルの頃、はしゃいだ世の中に違和感を持って、この話を書いたんじゃないかな。みんな幸せそうなフリをしてるけど、皮を一枚剥いでみたら、恐ろしい感情が渦巻いてるんじゃないの?って。

もう”ヒ素”とか”毒物混入”とかいう言葉が衝撃をもたらさなくなって久しい。現実には、小説よりも猟奇的で不可解な事件が多々起きている。そういう意味でこの小説は時代遅れだ。でも、小説だからこそ、犯人も犯人を作ってしまった周囲も許してあげたくなってしまう。
そして現代がいかに異常な社会になっているかを感じて、うすら寒くなってしまった。
若竹作品はやっぱりコミカルな方が好き。
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