上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

photo
ミーナの行進 (中公文庫)
中央公論新社 2009-06
評価

by G-Tools , 2010/05/20




幼い頃に体験した夢のような日々。
短かかったからこそ、鮮明に記憶に残る一時。
一人の少女が体験した特別な一年を描いた物語。

のっけから哀しみをはらんだ文章だったので、何かあるのではないかと身構えながら読んでしまったが、あったのは、過ぎ去りし日への郷愁と哀切だった。

親元を離れ、親戚宅へと預けられることになった中学生の朋子。
息をのむような大豪邸に、親の心配などよそに、夢のような日々が始まる。
飲料会社の社長である伯父さんの家は芦屋の一等地にあり、ドイツ人の血をひく伯父さんは俳優のようにかっこよく、颯爽とベンツを乗りこなす。ドイツ人のローザおばあちゃん、伯母さん、従妹のミーナ。食事担当の米田さんと、庭師の小林さん。そしてペットのカバのポチ子。

観るものも、食べるものも、すべて一流。満たされたように見える家だけど、長く家をあける伯父さん、留学中のお兄さん、家ではお酒を飲んでいるだけの伯母さんなど、足りないものもいっぱいあるミーナの家。
そんなミーナは喘息もちで弱い体ながらも、毅然とすごしている。ポチ子の背中に乗って通学し、小学生とは思えない読書量を誇り、そして、とてもキレイにマッチが擦れる。

描かれているのは朋子とミーナの素敵な一年なのに、
なんで、哀しい気持ちになったのか?
この家の人たちはみな穏やかで優しいのだけど、みんな何か哀しみを抱えているからなのか。
長いこと国に帰っていないローザおばあちゃん。
家族を持たず、生涯をこの家にささげた米田さん。
伯父さんからの愛を逃してしまった伯母さん。
そして健康な体と健全な家族をもてなかったミーナ。
そんな家族のゆがみが朋子には見えていた。
何とかしてあげたいという思いを控えめに感じている朋子の思いが哀しい気持ちを伝えてきたのかも。
なんとも密やかでつつましい物語でした。

スポンサーサイト

テーマ:読んだ本。 - ジャンル:本・雑誌



















管理者にだけ表示を許可する


| HOME |


Design by mi104c.
Copyright © 2017 たまゆらのつぶやき, All rights reserved.

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。