上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

photo
ミノタウロス (講談社文庫)
佐藤 亜紀
講談社 2010-05-14
評価

by G-Tools , 2010/10/09




佐藤さんの本、2冊目。

ロシア革命のあおりを受けた激動のウクライナという、
日本人にはあまり馴染みのない舞台背景。
一代で地主に成り上がった父親を持つヴァシリ。
ひと言で言えば、ろくでなしのボンボンだ。
受けられる教育をありがたいとも思わず、
これといった信念もなく、甘えた生活を送っていた。
しかし、めまぐるしく変わる社会情勢の中で、
家族を失い、家を失い、自分をも失う。

今日は赤でも、明日は白かもしれない、何を信念として
活動しているのか、もはやわからなくなっているような
混沌とした社会情勢。
兵士と盗賊の区別はなく、略奪と殺戮が日々繰り返される。
ヴァシリは社会が作り出した怪物だったのか?
それとも、怪物に成長しやすい社会だっただけなのか?

ミノタウルス。
このギリシア神話に登場する牛頭人身の怪物は、
ミノス王の妻が雄牛と交わり出来た子だ。
この息子を王は迷宮に閉じ込め、生きた若者を食餌として送り込んでいたという。
自分の子かどうかすら怪しく、生まれながらにして目を背けたくなるような獣。

ヴァシリは、この時代に生まれたミノタウルスなのであろう。
人の形をした怪物が、怪物としての本性を表し、人ですらなくなっていく
その様は、不穏で不愉快で、気持ちを落ち着かなくさせる。
けれど、怪物はヴァシリだけだったのか?
ヴァシリの周りを見渡してみれば、ヴァシリのような人間は山ほどいて、
その差は紙一重な気がする。

人の命や気持ちがこうもあっさりと踏みにじられると、
なんとも不安な気持ちになりますな。
流れ出た鮮血は、数時間もすればただの汚いシミとなり、
数日経てば、その跡すら消えてしまう。
人の存在とは、なんと瑣末なものなのか・・・

スポンサーサイト

テーマ:読んだ本。 - ジャンル:本・雑誌



















管理者にだけ表示を許可する


| HOME |


Design by mi104c.
Copyright © 2017 たまゆらのつぶやき, All rights reserved.

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。