上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

photo
雪の練習生
多和田 葉子
新潮社 2011-01
評価

by G-Tools , 2011/04/24



不思議なシロクマのお話。
3世代に渡るシロクマの物語。

「祖母の退化論」
「死の接吻」
「北極を想う日」

と、世代別にシロクマから世界が描かれる。
生まれ故郷であるはずの北極から離れ、
人間の社会を生きるシロクマ。
動物からみた社会の変遷、見られる動物からの視線、北極へのささやかな想い。

はじめは、美しいシロクマが自伝を描くという、
巨大なシロクマが小さなスカートをはいている絵が
なんとなく浮かぶちょっと滑稽でポップな印象だったのが、
そこから時代を経るにつれ、どんどん切なくなっていく。
何だろう、哀しい出来事が描かれているわけでないのに
じわじわと胸がしめつけられていく。

サーカスでの経験を書いたことで、亡命にまでいたった
シロクマから始まり、
伝説の曲芸を披露して人気だった娘シロクマのトスカ、
この時代でシロクマと曲芸師である人間との魂の交流が描かれ、
最後はなんと、ベルリン動物園のクヌート!!からの視点で
世界が描かれます。

人間との意思疎通ができたり、識字力のあるシロクマだが
食欲をセーブできなかったり、常に暑くてたまらなかったりと
らしさとらしからぬ性質が混在しているのがとても魅力的だし、
あの真っ白でフワフワした外見が要所要所で想像させられるのも
動物好きにはたまらない。

それに対してシロクマが指摘する人間の性質は鋭くてハッとする。
シロクマから見る人間は退化した動物なのだ。
食べるものに困っているわけでもないのに、狩りをする。
理由のない衝動は意味のない行動だ。
そう考えたとき、果たして人間の行動に意味のあるものは
どれほどあるだろう。

シロクマは決して人間を愚かだとは描いていない。
むしろ愛情を持って描いている。
それがよりいっそう、人間の愚かさを感じさせる。


元々シロクマに対して人一倍想いのある方なので、
なんだかとても哀しくなってしまった。
地球上で最も孤独な生き物だと勝手に思っているホッキョクグマ。
ただでさえ、厳しい世界で生きているのに、
温暖化がすすむことで彼らはどんどん追い詰められている。
申し訳ない気持ちでいたたまれなくなっちゃう・・・
スポンサーサイト

テーマ:読んだ本。 - ジャンル:本・雑誌



















管理者にだけ表示を許可する


| HOME |


Design by mi104c.
Copyright © 2017 たまゆらのつぶやき, All rights reserved.

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。