上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

photo
馬たちよ、それでも光は無垢で
古川 日出男
新潮社 2011-07
評価

by G-Tools , 2011/10/18



福島出身の著者が、3月の地震を見て、感じて、想ったこと。
あんな光景を見た後で、本なんて書けるわけがないと著者は言う。
あの悲劇を目の当たりにして同じことを感じた表現者たちが何人いたことだろう。
それほど、感覚に鋭く突き刺さった出来事。
しかし、福島に生まれ作家として生きる著者はやはり何かをしないわけにはいかなかった。自分の目で見にいった。
数年前に描いた東北の小説、『聖家族』の登場人物たちと会話しながら、東北の地を回る。

普段、心地よい疾走感をもって描かれる古川さんの文章が、
喪失感と痛みを孕んで、綴られる。
だから、読んでいるこっちも心が痛くて痛くて仕方がない。

鳥、犬、馬への視線。
今まで小説の中で古川さんが描いてきたものたちが、リアルな視線で捉えられる。
そこに生きるものたちの姿。
どんなに空が青く澄んでいようと、風がさわやかに吹きぬけようと、
その空気には見えない恐怖が交じっている。
そのことを知らずに、人がいなくなった地に放たれた家畜たちはどう生きるのだろう。
知らないから不幸ではないのか?哀しくはないのか?

青い空の下で、やせ衰えていく家畜たちを想うと、これが現実世界かと思う。
でも、事実あるのだ。今もなお○○km圏内というくくられ方をして。
そういう地があることを日に日に忘れて日常に戻っていく自分の後ろめたさ。
何もできないという無力感はもういいとして、せめて忘れてはいけないと思う。あの時の感覚を。それがまだ続いているという事実を。

スポンサーサイト

テーマ:読んだ本。 - ジャンル:本・雑誌



















管理者にだけ表示を許可する


| HOME |


Design by mi104c.
Copyright © 2017 たまゆらのつぶやき, All rights reserved.

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。