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空中庭園
空中庭園
posted with 簡単リンクくん at 2006. 5.21
角田 光代著文芸春秋 (2005.7)通常24時間以内に発送します。

空中庭園。団地のベランダに途切れることなく、花を飾る京橋家。団地の下から見上げるこの家のベランダはまさに宙に浮いた庭園。「家族に隠し事は一切しない」をモットーにする4人家族のそれぞれの視点から書かれた家族は、ベランダの庭園と同じように不安定であり、一種の異様さをもって目に付く。

章ごとに4人の家族、この家族と関係する人たちの視点で描かれている。それぞれの視点から浮き彫りになる、家族のあり様。最初の章で京橋家の長女、高校生マナの視点から描かれる家族像から、章をすすめるごとにそれぞれが隠し持っている秘密と家族の全体像が見えてくるという書き方。よく出来てる。

最初にこの長女が仕込まれたのが、ホテル野猿っていう話が出てくるんだけど、これ、多摩地区に住む人にはかなり聞き覚えのあるホテル。
多摩地区に育った私にも例外でなく、要所要所に出てくる電車の描写も見覚えのある風景とかなり被った。
そのせいか、ヴィジュアルが相当リアルに浮かんできて、ずいぶんと生々しい読後感あり。

小さい頃から大きな団地が苦手な私。コンクリートの質感とその大きさとは裏腹に周囲に馴染もうとしている存在感が怖い。この本読んで、その感覚をまたリアルに思い出したんだけど、一つ一つの家は全く違うはずなのに、外から見ると全部同じっていうのが、イヤなんだろうと思った。巨大な建物の中に同じ外観で同じ間取りの家がひしめき合ってる感じがすごく怖い。内にある問題を全て包み隠してしまう感じがする。

とりわけ特異な家族を描いているわけではないんだけど、読んでいて、とても哀しくなった。なんて言うんだろう、自分の家族感と近いのか、個々の気持ちにすごい共感しちゃって、家族ってなんて難しいんだろうとしみじみしてしまった。決して不幸ではない家族。深刻な問題があるわけでもない。でも、ちょっとしたコミュニケーションの失敗とかで起きる、なんとも言えない哀しみって家族特有のものな気がする。失言で子どもを傷つけてしまったり、泣いている母親を冷静に見れちゃったり、小さな痛みが家族にはいっぱいある。

このタイトルはとてもいい。そもそも地上から離れたベランダに花が咲いているという画は不自然で、でも、その小さなスペースに必死に庭を造る努力っていうのが、いじらしく、家庭を築くという行為に通じるものがある。
家族って選んでなるものじゃないし、でもこうあるべきだとか、こうありたいとかいう欲求がごく自然に働く不思議な共同体。家族だからわかって欲しいこと、家族だから知られたくないことっていうのも誰でもあるんじゃないかな。

自分の家族を作るっていうことを改めて考えちゃう本だわ。家族を作るってすごく難しそう。でも、お父さんの章にあったような、子どもを見て、ある完璧な物を手に入れた感覚っていうのかな、そういう家族を持ってみないとわからない充実感みたいなものにもすごく憧れる。その充実があるからといって、オールOKにもならないのが家族でもあるんだけどね。
家族って難しい・・・。

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早速の来訪、ありがとうございます。

確かにいいタイトル多いですね。あんまり数は読んでいませんが、本屋などでおっ!と手に取ることがよくあります。
【2006/08/02 14:01】 URL | momo #-[ 編集]
「ぱんどら日記」へコメントありがとうございます。新ブログのご案内をいただいたので、さっそく拝見しました。(こちらが新ブログということで間違いないですよね……(^_^;))

角田光代はタイトルのつけかたがうまいですよね。

最近出た「夜をゆく飛行機」なんて、新聞の広告でタイトルを見ただけで買ってしまいました。
【2006/08/02 10:06】 URL | ぱんどら #-[ 編集]














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