上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

夜の公園
夜の公園
posted with 簡単リンクくん at 2006. 6.26
川上 弘美著中央公論新社 (2006.4)通常2-3日以内に発送します。

川上さんの恋愛小説、久々です。
なんて言うか、音感がとても気持ちのいい文章でした。
内容としては、不倫や浮気が入り乱れた愛憎劇なのだけど、ドロドロした感じや、嫌悪感みたいなものが全くない不思議な小説。
大人の小説。結婚後の倦怠感だとか、油断だとか、30代の大人たちのふとした気持ちの隙間みたいなの、そんな小説。

この内容、うっかりすると、昼ドラ。ストーリーだけ読めば、とてもありがちな暇な主婦の不倫劇。なんだけど、そうならないのはやっぱり川上さんの雰囲気なんだな。

不倫だとか浮気だとか、やっているからといって人生変えるほどみんな情熱があるわけじゃない。だから、この結末はとてもリアルな気がした。
結局は離婚してるし、人生変わってるといえば変わっているんだけど、それはリリの浮気が原因ではなくて、「好きじゃなくなった」っていう理由だし。それぞれが寄りかかって生きていないところが気持ちいいなと。潔いなと。
妊娠したからといって、暁を選ばなかったり、離婚したからといって一緒になることを選ばなかったり、そういうところがリアルにも思えたし、気持ちがいいなと思う。
ただ、実態を感じられる子どもだけを選ぶ。つながりの強さ、その感覚だけを選んだっていうのが、潔くもありちょっと寂しくもある。

音感・・・主人公のリリ。この”リリ”という名前の響きがこの本のイメージを決定している感じ。リリ、リリ。夫や友人や彼氏から繰り返し心の中で呼ばれるリリ。風のようで気持ちがいい。
それにしても、リリは何の象徴だったのだろう?他人から見れば、ひどく存在感のあるリリ。でも、本人は自分の存在を希薄なものにしか感じられなかったんだろうか?夜の公園を徘徊するリリは、公園に漂う雑多な匂いに溶け込みたかったのかなぁ。個を主張するのではなく、むしろなくしたい願望?
そんな不確かなリリが妊娠によって確かなものとなる。わかるような気がする。生きているという確実な手ごたえがあれば、夫も愛人も友人もいなくても大丈夫な気がする。

地位や家庭がある大人たちが自分の存在意義を問う話かも。誰かに映し出される自分じゃなくて、自分という単体を捉えたときの存在理由。むずかしいね。大人ってむずかしい。
スポンサーサイト




いらっしゃいませ。
コメントありがとうございます。
川上さんの小説は心地いいものが多いですよね。
【2006/10/09 16:09】 URL | momo #-[ 編集]
こんにちは。TBありがとうございました♪

>この内容、うっかりすると、昼ドラ。

本当ですよねー。
そうはならないのは、川上さんだからこそですね。
みんなの人生が、激しく変わっちゃってるのに、
小説自体は、静謐な印象。
読み心地の良い本でした。
音感の部分のmomoさんの考察も興味深かったです。
ではでは。
【2006/10/07 14:59】 URL | ゆうき #sSHoJftA[ 編集]














管理者にだけ表示を許可する


| HOME |


Design by mi104c.
Copyright © 2017 たまゆらのつぶやき, All rights reserved.

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。